2019-09-01

句礼字頼太様作品

狼男の願い事

夜の帳が降り、空には月が昇っていた。  人の気配がまるでない草原を、一人の男が歩いていた。 「ああ、また満月の晩が来てしまった」  深い溜息とともに肩を落とす。見目麗しい青年だったが、何かを恐れるように暗い表情をしていた。
翼 翔太様作品

歌の結び糸

苔と申し訳程度の雑草。ごつごつとした地面と岩壁。それがカテリーナの七歳からの住み家だ。カテリーナの中で一番古い記憶はきらびやかな部屋と長い廊下、シャンデリアのかかった天井だ。かつての家である王都の城には今の政権を握っている男が住んでおり、父親はこの世を去り、母も別れてからはどうなったのか知らない。
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