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翼 翔太様作品

氷の花の愛

はらはらと花びらのように雪が舞う。それはこの世界では日常だった。 赤い毛糸の帽子、臙脂色のコートに身を包み、真っ白なスケート靴を持って一人の少女が外に出た。傍らには少女の身長とそう変わらない大きさの狼がいた。 「ディリヒラ」 名前を呼ばれた少女、ディリヒラはふり返った。玄関には母親が立っていた。
巫夏希様作品

魔女の願い

鬱蒼と生い茂った森の中、私は歩いていた。 どんな願いをも叶えてくれるという、魔女を探して旅をしていた。 どんな願いをも叶えてくれる、というのだ。代償は今更惜しむこともあるまい。しかしながら、命を授けよ、と言われたらどうすれば良いだろうか。私は考える。私は悩む。流石にそこまで言ってこないかもしれないが、しかしながら、相手は魔女だ。所詮、この世界では影を潜めて生きている人種に過ぎない。その魔女がどんな願いをも叶えてくれるというのだ。
巫夏希様作品

天空都市

天空都市マヌエラ。その都市には、どんな金銀財宝をもしのぐような宝が眠っていると言われている。 「天空都市マヌエラ……」 白いワンピースを着た少女は、崖の上からマヌエラを眺めながらそう言った。「気になる、かね?」 隣に立っている老齢の男性が、ひいふう息を立てながらそう言った。
翼 翔太様作品

変狼

今夜もどこからか狼の遠吠えが聞こえる。心地よくも恐怖を感じるその声をウォルはベッドの中で聞いていた。「この声は誰だっけ。……そうだ、肉屋のおじさんだ。あの人の声はちょっと低めだから」あちこちから狼の遠吠えが聞こえる。けれど襲われることは決してない。この村に住んでいる人間は、変狼族という一族でだれもが狼に変身できる一族だ。
遊佐堂様作品

あの人の道

最初の記憶は後ろ姿だ。すらっと上から下へと流れるようにきれいな輪郭を持つ体、ふんわりとなびく赤毛の長い髪。さざ波を聞きながら、私はぼーっとその人を見ていた。 次の記憶は部屋。天井は白色、壁は柔らかい黄色の部屋に私はいた。カモメの鳴き声で私は目覚めた。キョロキョロと視線を動かすとさっきの美しい後ろ姿が見えた。
巫夏希様作品

花と少女

少女には、不思議な力がありました。 それは、彼女の手が触れた場所に花を咲かせるという能力でした。 彼女の力を見たマスコミは、彼女の力を大々的に取り上げました。 彼女の力を見た科学者は、彼女を調べようとしました。 しかしながら、それは適いませんでした。
翼 翔太様作品

不幸見のヴィーゼ

雪のように真っ白な草原がどこまでも続き、満天の星がちかちかと輝いている。そんな夜の白い草原をヴィーゼはどすどすと歩いていた。 「なによなによっ、お父さんとお母さんのばーかっ」 ヴィーゼは手で思いきり白い草を薙ぎ払いながら進む。
遊佐堂様作品

ひとりぼっちの最終地点

いつから私は旅を始めたのか。それを思い出せなくなった。物心がついたときから私は旅をしていた。赤ちゃんや子供の時はさすがに一人で旅はできなかった。ぼんやりとした記憶だけが残っているが、かつては誰かと一緒に旅をしていた。顔もおぼろげ、声も覚えてない。覚えているのはなんとなく優しい人だったことだ。幼かった私が一緒にいた人を見上げると、相手は必ずあたしを微笑んでくれた。
さざの、様作品

君が、童話になる前に

「…先生? 何故、私はこんな森へ…?」 彼女は現実を閉じられたことに瞠目し、最後の扉の亀裂へ指を触れたが、もうそれは縫い留められて消えてしまった。 ――とはいっても、この扉を作ったのは私自身なのだが。
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